ビデオ⑤ 「間」を効果的に使う

相手の理解を考えた伝え方

文章を伝えるときの「間」についてお話します。
ここでお伝えする「間」は、「間」の力でご紹介した「心理的な間」です。
つまり、相手の理解を確かめるための「間」です。
それは、文章と文章の間(あいだ)に取る「間」です。
一文読んだら「間」を空けます。
どういう「間」かというと、聞いている相手が「うなずく間」です。

 

自分が相手に何かを伝える場面、プレゼンテーションや発表などでは、その時話しているのは、自分だけです。
この場合、話すことに没頭していると、相手のことを考えずに一方的に話し続けてしまいます。
自分から相手への一方向、ワンウエイです。
すると、聞き手は情報が次々やってくるので受け止められなくなり、途中で聞くことを放棄します。
こんな状態では、どんなにいいことを伝えていても、聞き流されてしまいます。

そこで、「間」を取ります。

一文話したら、相手が「うん」とうなずくための「間」を取ります。
うなずきが、聞き手からの反応です。
これで、二方向、ツーウェイです。
会話のような伝え方になります。
このちょっとした「間」が、双方をリラックスさせます。

 

また、長い文章には、段落があります。
その段落と段落の間には、大きな「間」を取ります。
「間」を取ることによって、聞き手は、「あっ、次はちょっと違う話をするんだな」と気づいて、さらに耳を傾けます。
どれぐらいの「間」かというと、思い切って、3秒、空けてみましょう。

慣れないうちは、長い「間」を取るのはドキドキするものですが、相手にとっては、落ち着いてゆったり話を聞くための大きな要素になります。
長い「間」に慣れると、あなたの心は、さらに焦らずゆったりしてくるはずです。
いつかこの「間」が、空間を演出していることに気がつくでしょう。
ここまでできれば、すばらしい話し手です。

 

ではここで、もう一度、前回練習した文章を読んでみます。
文章に「間」の長さを書き加えました。
(間、中)は、聞き手がうなずく時間。
(間、多)は、3秒。
(間、少)は、短い間です。

強調もしっかり意識して読んでください。
今回も、録音してみましょう。

 

最近の日本人は、早口になってきたと良く言われます。(間、中) 

世代間や個人差はあるものの、一般的傾向として、一定時間内に話すことばの量は

増えてきています。(間、多)

また、早口になるにつれて、ことばが乱れてきたという指摘があります。(間、少)

その第一は、話が文として完結せず断片的であちこちに飛躍がみられるというもの

です。(間、中)

もともと会話とはそんなものだという人もありますが、(間、少)筋道をたてた話し方が

 できないのは問題です。(間、多) 

上手な話し手は、「ゆっくり話しているようで、多くの内容を伝えている」と言います。

(間、少)

「多くのことを話していても、少しもせかせかした感じをあたえない」とも言われます。

 

さあ、いかがでしょうか? 
気の焦りがなくなり、落ち着いて、間違うことなく読めたことに気づかれましたか?
言葉を伝えることに集中できたのです。
この読み方だと、ドキドキしたり、人からどう見られているかなど、伝える際に必要でないネガティブな気持ちが、一切自分の中に入ってきません。

そして、前回録音したものと聞き比べてみてください。
「おやっ、なかなかうまいじゃない」と思います。
最初のものは、目の前を声が流れていくような感じで、しっかり聞いていないと内容がわかりません。
ですが、後のものは、ぼ〜っと聞いていてもしっかりと耳に言葉が入り、話している内容がよくわかります。
「軸があって、ブレない」という印象です。
伝えることに集中すると自然にそうなるのです。

 

もし、途中で言葉を言い間違えたとします。
いつもなら「あっ間違った」という焦る気持ちで、体が揺れたり、息が乱れたり、声の質が変わったりします。
しかし、この読み方で自分に軸があると、冷静にすんなり言い直せるので、相手に間違ったという印象を与えません。

誰だって、言い間違えることはあります。
なので、ビクビク変に縮こまる必要はないのです。
サラリと言い直せばいいのです。

 

余談ですが、「軸があって、ブレない」についてお話します。
参加するセミナーに少し遅れてしまって、もう始まっている会場に1人入る場面を思い浮かべてみてください。
人目を気にしながら、申し訳なさそうに妙にコソコソした動きになります。
こっそり入ったつもりが、その動きが意外と目立って、会場の集中が途切れます。
自分に軸がないと、周りを気にし過ぎて不自然な動きになってしまいます。
軸があれば、会場にすっと入ってさっと座れるので目立ちません。
こちらの方が、セミナーの流れを邪魔しないスマートな入り方です。

小さな間違いは、変に気を使い過ぎず、自分の許容範囲にしてしまえばいいと思います。

 

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