ビデオ⑧ 「サラウンド」効果

 

意識を横に伸ばすだけ

ここで、さらなるアイテム「サラウンド」効果で、声に響きを加えましょう。
「背骨職人」で背骨を後ろに外し軸を立て、その軸から声が左右に広がっていく、そんなイメージで声を出します。
声は、あなたの周りを大きく回って、前にいる人々を包みます。
声はイメージ次第です。
左右に声が伸びるぞとイメージするだけで、あなたの左右の空間1メートルぐらいに声が響きます。

 

左右に広げることを意識して、読んでみましょう。

狸百匹箸百膳 天目百杯棒八百本

最後は、はっぴゃっぽんと読みます。

いかがですか?
落ち着いて読めましたか?
声が広がる感じがしましたか?
読んでいる時、ご自身が大きくなったような感覚ではないですか?

この左右に広げる意識で読むと、読むことだけに集中することができます。
「サラウンド」によって、後ろの「意識」が強化され、感情に左右されることがなくなるのです。
自分から声が空間に広がるにつれて、自分の場が大きくなる感じがします。
相手から見ても、あなたの声と存在はさらに厚みが出、堂々とした印象になります。

 

これまで緊張したり、うまく読めなくなったのは、ネガティブな気持ちが目の前をよぎったからです。
それだけのことです。
いつも、この雄大な気分の自分でいることを許可してみてください。
できないと思ってしまう時のあなたと比べてみると、全く違うあなたになっています。

 

「意識」の場所が自分の前にあるか後ろにあるか、ほんの50センチほど違うだけなんだということにも、気づいてみてください。
この早口言葉のように、話している内容が自分で全くわかっていなくても、すごく立派に話しているように聞こえるのが、不思議です。
話している内容は大切ですが、まずその人の在り方で、人は感動を覚えることもあるかもしれません。

 

次の早口言葉を読んでみましょう。

「青巻紙 赤巻紙 黃巻紙」

落ち着いて読めますね。

 

響きが増えてきたところで、今度は、さらなる「サラウンド」の練習です。
今いらっしゃる部屋の壁まで声を広げ、壁に沿って声が前へ伸びていく、というイメージで読んでみましょう。

やいやい云われ いやいや家を いよいよ売る

 

ちょっとエネルギーが要りますが、あなたは、あなたの声でサークルを作ることができます。
あなたと相手の方が、そのサークルの中にいます。
すると、一緒にいるという安心感が生まれ、親しい気分になります。
とても話がしやすい環境ができあがります。

また、壁沿いに声を広げようとするエネルギーが、あなたのエネルギーになって相手に伝わるので、相手はあなたのエネルギーを感じ、楽しんだり元気になったりします。

 

以前、私は何度かホテルの大きな会場で司会をしたことがあります。
1,000人ほどのお客様に圧倒されます。
知らない人ばかりで、アウェー感を感じます。
この気分のまま司会をすると、私の存在感は小さくなり、とりあえず役目は果たしたけれど大変だったな、と思います。

 

次は、こんなイメージで司会をしてみます。
私の後ろからサラウンドで、壁に沿って声を前方に伸ばし、会場中に大きな私の声のサークルを作ります。
すると、アウェー感は全くなくなり、失礼ながら、どのお客様も仲良しな気分がしてきます。
一緒にこの場にいる仲間のような感じです。
仲間と一緒に楽しく過ごしているのですから、緊張したり、間違えたらどうしようという気持ちはなくなります。

背骨を自分の後ろに外しサラウンドで話すことをさらに意識すると、怖いものがなくなり、目の前に何十人、何百人いても、自分自身を揺らがせることなく話すことができるような気分になるのです。
私が話すことで、私のサークル内は私の声の分子で満たされていきます。

 

会社のカンファレンスの司会の大役を務めることになり練習に来られた女性の方が、こんな感想をくださいました。

「月曜日が本番でした。最初は緊張したものの、初めの言葉を言い終えると自分を後ろから眺めるという術を取り入れることができ、350名の会場で落ち着いて最後まで司会を務めることができました。一回も言葉に詰まることもなく、むしろ楽しむ余裕さえあったような気がします。会う人会う人、数え切れない人に褒められました。上司からも嬉しい言葉をもらいました」

 

初めて350人の前で司会をするのですから、きっと彼女は本番まで読み方とイメージづくりを懸命に練習されたと思います。
その実力を、後ろの「意識」とサラウンドで発揮させ、緊張の場を楽しい場に変化させることができました。

 

プレゼンテーションをなさる方も、ぜひこのイメージを使ってみてください。
会場内にサラウンドで大きな声のサークルを作り、大事な言葉を丁寧に伝えてみましょう。
声を響かせて、会場を感じながら話すことができれば、話し手も聴き手もとても気分のいい時間になることでしょう。

聞き手が一人の場合と数十人の場合では、話し手の出すエネルギーが違うので、サークルの大きさは、人数によって変えましょう。

 

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