《テキスト》

 

次の言葉を、弱め(相手を思いやって)強め(はっきり確信して)で、表現してみましょう。 
                   

弱め「それは大変でしたね」 

強め「でも、次は、がんばりましょう!」

 

 

 

声の強弱による印象

日本語は、高低アクセントです。
基本は高低ですが、強弱も使います。

声の強弱によって話し手の印象が変わります。
弱すぎる声は、おどおどした、頼りない感じです。
強すぎる声は、圧迫感、威圧感があります。
弱い声というのは、悪い意味ではなくて、一歩引いた、優しい、配慮のある声。
そして、強い声は、積極的で、元気で、自信のある声です。

 

では、次の文章を練習してみましょう。

「(弱い声で)それは大変でしたね。
(強い声で)でも、次は、がんばりましょう!」

 

誰かが、あなたに相談に来ました。
「○○さん、私……こんなことがあったんです……」と言います。

そこであなたは、「それは大変でしたね……」と、まず、弱い声で相手の言葉を優しく受け止め、「でも、次は、がんばりましょう!」と強い声で元気よく、相手の背中をポンと押してあげます。

 

日常でこんなに激しく変化する会話はないかも知れませんが、練習です!

「それは大変でしたね……、でも、……次はがんばりましょう」という具合に、読んでしまっては、相手に響きません。
また、気持ちだけでこの言葉を伝えようとすると、感情が入って息がもれ、がんばっているんだけど空回りしちゃうという結果になりがちです。

強めの「でも」から、勢いをつけて大きな声で、そしてトーンをグーンと上げて言ってみましょう。
「でも」から語調が強くなることで、相手は励まされるのです。
相手のために、ドーンと力強く言ってください。

「(弱い声で)それは大変でしたね。
(強い声で)でも、次は、がんばりましょう!」

普段こんな話し方じゃないから、ちょっと恥ずかしい……なんて思わないでください。
これぐらいやって、ようやく相手に伝わるのです。
やったことがないなんて思わずに、練習のときに、どんどん自分のパワーを出していきましょう。

 

起伏の少ない単調な会話から、ドラマチックな会話に変身させていくんです。
やらなきゃ自分は変わらない。
無理〜なんて言っていたら、変われる量が減ってしまいます。
これまでの話し方から変わるには、オーバーにするぐらいで、ちょうどいいのです。

 

60代のある女性の方は、本当にこれがお上手でした。
優しく懐深く相手の言葉を受け止め「それは大変でしたね〜」 余韻3秒後、瞬時に切り替わって、とびっきりの笑顔で、そしてネガティブを吹き飛ばすような元気な声で、ドカーンと相手を勇気づけられました。
「でも次はがんばりましょう!!」

うまい! ペアの方が、「こんなに励ましてくださるなんて!」と感動するほどの迫力でした。
セリフ、二つだけなんですけれど。

 

人の力になれるパワフルな人になってみるのは、いかがでしょう。
「いままで、考えたこともなかったんですが、実は、そんな人になりたかったんだと、今、気が付きました。私は、そんなタイプではないと思い込んでいました」とおっしゃった方がいました。

この練習がすぐできたなら、あなたはすごいです。 
実は、なかなかできない方もいらっしゃいます。
何度やっても、変わらない。
声を強く出す、ということをやったことがない方だったのです。
彼女は、強くエネルギーを出したことがなかったのです。

 

話し方に起伏がないと、内容が伝わりにくくなります。
ご受講の30代の女性の方が「私、『痛いー』って言っても、本当に痛いの?って聞かれたり、『うれしい』と言っても、『本当にうれしいの?』って聞かれるんです」とおっしゃっていました。
痛いもうれしいも、起伏の少ない伝え方だったのでしょうか?

では、相手にしっかりわかってもらうために、起伏をつけて派手に派手に表現しちゃいましょう。
その声に、周りの人が引きこまれます。
これが、ムードメーカーになる人なのです。

この女性が練習の後、こうおっしゃっていました。
「普段、あまり感情は表に出さない方がいいと思っていましたから、こんなふうに声を出したらやり過ぎかなって思っていたんです。でもビデオで見てみたら、自然だし、明るく見えます。だったら、こっちがいいですね!」
きっと天然そのままのあなたなら、こんな表現が普通なのかもしれません。

 

表情が生き生きとしたこんな話し方がマッチします。
こんなイメージで、生き生き自由に発言したら、わかりやすくって、周りの反応はもっと良くなることでしょう。
「意識」が後ろで息を使わない声は、ネガティブな感情が混じらないので、ストレートに気持ちが表現されます。
ウェットな感じのない、さっぱりドライな感じです。
聞いていて気持ちのいい表現になります。

生き生きとした会話には、心の切り替えが大切です。
ポイントは、言葉を伝える前に、心をそのテンションに切り替えておくことです。
気分をそこに持って行ってから言葉を伝えます。
そうすると、思い通りのニュアンスで、言葉を伝えることができます。
あなたがエネルギーを出すことで、人の心が動くのです。

 

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