ビデオ⑫ 高めの声・低めの声

声の高低による印象

「こんにちは、○○です」

話し手が、少し高めに話し始める、あるいは、少し低めに話し始めることによって、その場のムードが変わります。
TPOに合わせて、高い音で話し始めるか、低い音で話し始めるかを選んでみましょう。

少し高めに話すと、人を元気にします。
「さあ一緒にやりましょう!」と、盛り上げる声です。

少し低い声だと、落ち着いてお話しましょうという印象になり、安心の場を作ります。

 

この違いが使えるようになると、自由自在に自分の声を操れるようになります。
そして、自分の声のトーンで、会場のムードを作っていくことができます。
「意識」を後ろに置き、ここでどんなふうに話そうかなと、少し余裕を持って話し始めることもできます。
「どんなふうに」と考える間を、自分で取ることができるのです。

 

では、練習してみましょう。

いつもよりグッと高めの声に挑戦してみます。
高めの声で、人の心をぐいっと持ち上げるように言ってみましょう。

「こんにちは、○○です!」

 

この高さは大変だ~と思われたかもしれませんが、この声はみんなを引きつけます。
あなたと一緒にやろうと好感を持ちます。
高い声を出した時、心が上に上る感じがしませんか? 
自分の心が上がると、周りの人の心もあなたの声と共に上がるのです。
みんなの心が、あなたの声で一緒に上がる。
すると、心を1つにして何かをやれる気持ちになります。

 

心の持ちようで声は変わります。
ここでは、気持ちで声を変えるのではなく、その逆で、声を出して、その声に気持ちを合わせます。

気持ちで人の心を動かそうとすると、がんばりすぎて感情が誇張され、空回りした印象になりがちです。
なので、冷静な状態で、単純に音の高低というテクニックで気持ちを表現します。
特に高めの声は、自分が思うよりもう1つ高めぐらいがいいと思います。

まずは、第一声、挨拶の声を高くしてみましょう。
その結果、声の高さと連動して自分の心が動いて、楽しくなってきます。

気持ちは後でくっついてきます。
単純に何も考えずにやるほうが、効果が出ると思います。
自分の声で、自分自身が元気になっていきます。

 

では次に、少し低めに、心を落ち着かせて

「こんにちは、○○です」

と言ってみましょう。

低めと思ってボソッと言うと、低いのですが暗くなります。
低い声にしようと思うと、お腹の力が抜け、息がもれやすくなります。
お腹の力は抜かないで、音だけ低くします。
高めのときの状態のまま、声だけ低くするイメージです。
お腹を意識して、息を出さないことに気をつけてください。
しっかりとした低い声で、部屋の雰囲気が落ち着きます。
聞き手が話し手に対して信頼感、安心感を持ちます。

 

声のエネルギーを上げる

高めの声を出すと気分が高揚し、低めの声を出すと気分が落ち着きます。
高めの声を出すと「心」が少し上に上がり、低めの声を出すと「心」が下がります。
言葉を豊かに表現するためには、「心」を上下に動かすこと、この「心」を動かすエネルギーが必要なのです。

 

私がボイトレを始めた頃、ボイストレーニングにお越しになる女性の方は、高めで軽めの声の方が多かったように思います。
以前の私の声もそうでした。
そのような方には、声が心にずしっと響く、力のある低めの声の出し方をお伝えしていました。

しかし、最近では、むしろ低い声の方のほうが多くなってきたなと感じます。
低い声の理由は、声を出すときのエネルギーが不足しているからかと思います。
お腹に力が入っておらず、息がもれてしまうのです。
ですので今は「少し高めに声を出してみましょう」とお勧めし、トレーニングをしています。

 

高いハリのある声を出すには、エネルギーが必要です。
では、エネルギーを上げるために、さらに高めに発声してみる練習をしてみましょう。
「サーン!」の位置を、高めにしてみます。
そして、「言葉は人を表す」と言ってみましょう。
力を入れず、がんばらずに、ただ少しだけ高い音にしてみてください。

注意点は、「サーン!」といった時の、お腹の力の入り具合をキープして話すことです。
音を少し高く出そうとすると、お腹の力の入り具合が変わりませんか?
それをキープです。

「1,2,サーン! 言葉は人を表す」

この練習をしていると、「汗が出て来ました~」とおっしゃる方がいます。
体が少し熱くなってくるかも知れません。
エネルギーを使った証拠です。
この声で話すことで、相手にエネルギーを伝えることができます。
言葉とともに、あなたのエネルギーを相手が受け取るのです。

 

しかし、「がんばって」高い声を出そうとすると大変です。
高い声をムリに出そうとすると、喉に「意識」が行き、喉に力が入ってしまう場合があるからです。
喉に力が入ったまま「サーン!」と言うと、喉を後ろ斜め後ろに引っ張りあげるような感じになり、苦しくなるのです。
喉に引っかかったがんばった声は、自分も相手も疲れてしまいます。
喉に引っかかるなあと思ったら、「うちわ」で後ろの「意識」を感じなおしてみて下さい。

 

「意識」を斜め後ろに持って行って、自分の本来持っているパワーを使うと、エネルギーの高い声を出すのは大変ではありません。
今までやったことのない声の出し方なので、初めは「サーン!」の位置をとらえるのが難しいかもしれませんが、このエネルギーを出すことで、隠れていたあなたという人間の魅力が現れます。

「この声をいつも出せたら、私も変われそうな気がします!」と、いい声が出せた後、笑顔でおっしゃる方が多いです。

 

人は、相手を見た目で判断すると同時に、相手のエネルギーも感じていると思います。
人には、そんな高感度なセンサーがあるのです。
言葉とともにウソのない自分らしいエネルギーを出し、相手にそれを感じていただければ、短時間でいい関係を築くことができるでしょう。

自分からエネルギーが出せるんだ!とわかったら、では、どんなエネルギーがいいのかな?って、思います。
これは、自分の頭で考えてもわからないところです。
あえて、何も考えないで、とにかく、「意識」を後ろに置いた時の自分のエネルギーを信じてみてください。
これが、「自分を信じる」ことではないかなと思います。

 

練習し初めは、出たとこ勝負!という声ですが、使っているうちに、だんだん馴染んできます。
重要なのは、「この声を出した時、気持ちがいい」ということです。
これが一番大事で、その時、いいエネルギーが出ています。

 

初めは、このエネルギーで話すことは疲れるかもしれません。
今までこの声のエネルギーを使っていなかったからです。
しかしこれからは、ぜひ使ってください。
伝えたい、聞いて欲しいという気持ちがある方には、このエネルギーの価値は大きいです。
これくらいエネルギーを出さないと、人に届かないとも言えます。
エネルギーは、出せば出すほど、減らずに増えます。
出さなかったら、だんだん人間がショボンとなってきます。
声でエネルギーを出せば出すほど、自分が活性化してきます。
自分の中の元気が引っ張りだされるのです。
気分も爽快になってきます。

その声のエネルギーを感じた人は、「あなたと一緒にいると元気が出るわ」と、おっしゃいます。
これが、人気者の秘訣です。

 

まずは、話しながらエネルギーを出してみることです。
エネルギーのもとになる下腹を支える力をキープすることです。
それができれば、場に合わせて、穏やかなエネルギーにしたり、ハツラツとしたエネルギーにしたり、自分で調整できるようになります。
あなたの声のエネルギーが、人と場に、影響をおよぼすのです

 

次へ