語尾の印象

文節や文末の語尾を上げて話すクセをお持ちの方がとても多いです。
助詞の「て・に・を・は」が、ひょいっと上がるのです。
「語尾が上がっていますよ」とお伝えしても、ご自分では全く気づかない。
ビデオをお見せして、「あっホントだ、上がっていますね」と、ようやく気づかれるのです。

語尾が上がるクセは、「ベーシック」でお伝えした、話す前に息をヒュッと吸うクセ以上に、なかなか直りません。
思い浮かんだ言葉を勢いで話してしまうと、細かい音の高低の判断ができなくなります。

また、語尾を上げて話すことが、すっかり「話すリズム」、つまりご自身の口調になってしまっているので、自分の語尾がどんなふうに上がっているのか、もうわからないのです。

語尾が上がるのにプラスして、語尾が伸びる、という方も多いです。
「わたしはぁ~」「ですし~」「ですから~」などです。
この話し方を聞いて、耳障りだなと思われる方は多いと思います。

テレビの番組の中の市民の方へのインタビューなどで、語尾が上がって伸びる話し方をされる方をよく見かけます。
テレビを観ていると、よくこの語調が耳に入ってくるので、ついつい自分にもうつってしまうのです。

 

私のセミナーにこの話し方の若者(男性)がいらっしゃったので、「どうして語尾が伸びるの?」と聞いてみましたら、「伸ばしている間に、次何を話そうか考えているのかも」と返ってきました。

おお、そんなことをしていらっしゃったのですね。

彼の話からもわかるように、話す時、何を話すのか結論がないままに話し始めると、文節ごとに休憩して、思いつくままどんどん文章が長くなっていきます。
これは、聞き手にとって、とてもわかりにくい話し方です。

 

そういえば、学校で語尾が上がる先生はいらっしゃいませんでしたか?
「次の時間はぁ、体育館でぇ」という感じです。
「はぁ」や「でぇ」が、やたら強いのです。
この時先生は、きっと、とにかくしっかり生徒に伝えるために言葉を強調したいと思っていらっしゃるのでしょう。

助詞の「はぁ」で、その文節をぐぐっと強調して伝えたという気分ですが、強調しているのは残念ながら「助詞」だけで、「名詞」ではありません。
生徒の耳には、強い語調の「はぁ」が残ります。
その語尾の音の強さに圧迫感を感じます。

 

語尾が上がるのと下がるのとでは、かなり印象が違ってきます。
語尾が少し上がるだけで、語調が不安定になります。
はっきり確認できるほどいやな印象ではなくても、その言葉を話したその方にも、少し不安定さを感じてしまいます。

反対に、語尾が下がると、不思議なことに、しっかりした人だなあという印象になります。
語尾が上がっているか、下がっているか、この音の違いが、人間の信頼度を上げるか下げるかにまで関わってくるように思います。

 

経営者の方々の集まりで講演をさせていただいた時の話です。
講演が終わった時、最前列に座っていらっしゃった社長さんが、トコトコと私に近づいて声をかけてくださいました。

「先生、さすがプロやなあ。語尾が全部下がっとったわ」

まあ、社長さん、そこをチェックしていらっしゃるとは、社長さんこそ、さすがです。
頭が下がりました。

 

さて、話すときは助詞だけではなく、文章の最後の音にも気をつけましょう。
特に、「○○ですか?」の「か」の音は、少し強く言うと、性格も気が強い人に見られてしまいます。

よく人から、「あなたは気が強いわね」と言われる方は、ぜひ語尾に気をつけてください。
知らず知らず強く言っているかも知れません。

反対に、語尾が消えそうな方は、自信がないように見られます。
この話し方をする方は、自分の印象をその場に残したくない、という気持ちがあるのかも知れません。
いいことをおっしゃっているのに、とてももったいないと思います。

 

話を聞いて最後に聞き手の耳に残る音が、語尾です。
その印象が、その人自身の印象に結びつきます。

優しい・受け取りやすい・親近感が湧く・信頼できるという印象、
あるいは、
強い・荒い・強引・ひとりよがり・消極的などの印象も、聞き手は音を聞いて瞬時に感じ取ります。

自分の出している音がどのような印象なのか、最後の最後まで意識することが良い話し手のコツです。

 

多くの方は、今話している一つの文が終わりそうになると、もう次の内容を考え始めます。
その瞬間、最後の音の出し方が曖昧になるのです。
前にも少しお伝えしましたが、相手の肌に自分の声がどう当たっているのか、最後までエネルギーを緩めないで話すことが大切です。
文章の最後の音が相手にどう届いたかを感じてみてください。
これができると、配慮のある、良い話し手になれます。
また、冷静に自分の耳で自分の声の印象を確かめることで、客観性がさらに高まります。

 

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